スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム感想(ややネタバレあり)

みてきましたよ。クリティカルなネタバレはないけど、まっさらな気持ちで鑑賞したい方は鑑賞後にしてネ。

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まず、前作「ホームカミング」は個人的に衝撃を受けた作品でして。何しろ生まれて始めてヴィラン(悪役)を心の底から応援してしまった作品なんです。マーベル作品は悪役も魅力的で、「シビル・ウォー」では家族を奪われた一般人でした。「ブラックパンサー」のキルモンガーは己の正義を貫く漢(おとこ)だったし、サノスに至っては問答無用で従っちゃいそうなカリスマ性がハンパない。でも「ホームカミング」の悪役であるヴァルチャーは等身大だったというか、凄く共感しちまったんです。やってることはアウツ極まりないけど、追い詰められた末に、家族や部下のために、必死こいて命を懸けて働いてる。そこへまだ現実の厳しさを知らない青臭いスパイダー的高校生が「やめなよ!」とか抜かしながら、ちっちゃな正義感で全力で邪魔してくるんです。もうね、こっちとしてはね、小僧引っ込んでろ!世の中白黒じゃ区別出来ねえんだよ!ヴァルチャー頑張って!あなたの隣人達を守って!だったんですよ。

・・・とまぁ前置きが長くなったけど、鑑賞後、この監督上手だなあ。よく出来てるなぁってめっちゃ感心したのです。

で、今作「ファー・フロム・ホーム」の感想なんですがね。

いやぁ、よく出来てるわ・・・(2回目)。

今回のピーターは悩みます。ヒーローとして自分をどこまで犠牲にするか。「大いなる力には大いなる責任が伴う」ですね。今回はそれがとてもわかりやすいんです。

ピーター「スーツも置いてきたし、ヨーロッパ旅行を楽しんじゃうよン!」

ニック・フューリー「敵が来たから協力しろ(強制)。」

ピーター「えー、でも、僕、「親愛なる隣人」だし。荷が重いし。他の人にお願いして。」

ニック・フューリー「ヒーローだろお前。任務を果たせ(強制)。」

ピーター「いや、あの、MJと・・。」

ニック・フューリー「黙れ。来い(強制)。」

ピーター「(泣)。」

この辺の感情移入のしやすさ。青春を犠牲にしてまでヒーローしなきゃなんないの?つーかアイアンマンの替わりなんてそもそも無理っすよ勘弁してください、みたいな。OKピーター、それ以上言うな。その気持ち、スゲーよくわかるよ。大人ってほんと勝手だしめんどくさいよね。今回の俺は君の味方だぜ!

てなわけで今回は、子供から大人へ。「ホームカミング」から、「ファー・フロム・ホーム」へ。というお話です(雑な表現)。この題名も色々なことを表していて面白いね。

出演陣としてはトム・ホランドが相変わらず満点としか言いようのないスパイダーマンっぷり。デレモードに突入したあとの破壊力が凄まじいゼンデイヤのMJもとてもナイス。そしてジェイク・ジレンホールのミステリオ。とても楽しそうですごく良かった。そうそう、このミステリオ絡みの設定もすんげー感心しました。この辺もマーベル作品の凄さの一つだと思うのですが、「作り手側が鑑賞側の気持ちを絶対に忘れていない」んです。過去には「エイジ・オブ・ウルトロン」でホークアイが「この状況の中、俺なんて弓で戦ってんだぞ?(自嘲)」みたいなことを言っていたし、「エンドゲーム」では観客目線に立った上での嬉しいサプライズの連続だったし。同様に見ると今回はミステリオのセリフがいちいち深いんです。メタ的というかね。

というわけで「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」感想でした。これだけの超人気キャラ、超巨大フランチャイズ作品でありながら、ある意味地に足を付けて進み続けるという、マーベル・シネマティック・ユニバースの底力を思い知らされました。

そして!恒例のエンドロールでのおまけ映像は最初と最後で2種類あるのですが、どちらも必見であります。1つ目は喜びのあまり「あ、あなたはーッ!?(ガッツポーズをしながら)」となったし、2つ目は「マジかよもう1回観なきゃ(笑)」と使命感にかられることうけあいです。

気楽に観てもOK、色々考えさせられてOKと、ほんとよく出来・・いや、3回目はまだ取っておくことにします。ではまた。